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6月上旬に届いた「年金額改定通知書」「年金振込通知書」に関するよくある相談とは

6月上旬に届いた「年金額改定通知書」に関する典型的な相談事例

(2026年6月9日)  

6月上旬に日本年金機構から送られてくる「年金額改定通知書」「年金振込通知書」については、毎年多くの相談があります。

令和8年度は在職老齢年金制度の基準額が前年度の51万円から65万円に大幅に引き上げられたことにより、高額報酬を受けて働きながら、老齢厚生年金(報酬比例部分)を半額程度受給できるようになった社長も多いでしょう。どうせなら全額受給したいと感じた人もいるかもしれません。

 

届いた「年金額改定通知書」「年金振込通知書」をみて疑問に感じて相談ががあるケースとしては、以下のような例があります。
 

 

(例)12月決算企業の代表取締役A社長(報酬月額65万円・賞与なし。老齢厚生年金(報酬比例部分)180万円)。
 

20264月分の年金(6月支給分)から在職老齢年金制度の基準額が大幅に引き上げられるため、老齢厚生年金(報酬比例部分)の半額を受けられることを知った。

・年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額15万円+総報酬月額相当額65万円-令和8年度基準額65万円)×1/27.5万円
 

できるなら老齢厚生年金(報酬比例部分)の半額ではなく全額を受給したいと考え、令和82月開催の定時株主総会で、3月支給分から役員給与月額を50万円に変更して支給してきた。

・年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額15万円+総報酬月額相当額50万円-令和8年度基準額65万円)×1/20
 

ところが、6月上旬に厚生労働大臣名で届いた「年金額改定通知書」を確認すると、「厚生年金保険」の「支給停止額」欄に90万円と記載されており、老齢厚生年金(報酬比例部分)が半額支給停止となる前提での金額が記載されているように思える。
 

「年金振込通知書」に記載されている令和86月支給分(令和84月分・5月分)から令和94月支給分(令和92月分・3月分)までの各期の年金支払額をみても、やはり、老齢厚生年金(報酬比例部分)が半額支給停止となる前提での、老齢基礎年金等も含めた金額が記載されているように思える。
 

年金を全額受給できるような役員給与設定に変更したつもりが、誤った役員給与設定をしてしまったのかと不安になり相談がある。

 

(解説)「年金額改定通知書」に関する典型的な相談事例はなぜ起こるのか

役員給与月額が一定額以上(標準報酬月額で原則2等級以上)変動したことにより、老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給停止額が変動することがあります。
 

ただし、役員給与設定を変更して、変更後の役員給与を支給したらすぐに年金の支給停止額が変わるわけではありません。
 

一定額以上変動した役員給与を3か月連続支給した後、会社が日本年金機構(年金事務所)に、そのことを「月額変更届」(被保険者報酬月額変更届)の提出により届出たら、4か月目(上記事例の場合6月)分の年金から全額受給できるようになります。

そして、6月分・7月分の年金が支給されるのは、8月です。
 

上記事例では、6月に届いた「年金額改定通知書」「年金振込通知書」の作成時点においては、会社がまだ月額変更届を提出していませんから、A社長の給与月額変更により6月分(8月支給分)から年金支給停止額を変えるべきことを、日本年金機構はまだ知りません。
 

ですから、変更前の役員給与設定のまま継続して支給されることを前提とした「年金額改定通知書」「年金振込通知書」が届いているわけです。
 

通知書作成時点の状況に基づいた正しい通知書が6月に届いたわけですが、A社長が、役員給与変更後すぐに年金支給停止額も変わると誤解しており、次の事項について知らなかった場合には、届いた通知書が間違っているように感じることでしょう。

・一定額以上変動した役員給与を3か月連続で支給するだけで年金支給停止額が自動的に変動するわけではなく、会社が届出をしないと、役員給与変更を加味した年金支給停止額計算は行われないこと

・年金は偶数月に前々月分・前月分が後払いで支給されること
 

上記事例では、令和83月・4月・5月支給済みの報酬月額を「月額変更届」で会社が届出ることにより、令和86月分(8月支給分)から、年金支給停止額が変わります。
 

この場合、今回の「年金額改定通知書」「年金振込通知書」とは別に、後から、6月分の年金から支給停止額・支給額が変わる旨が記載された「支給額変更通知書」が届きます。
 

「月額変更届」の提出漏れによって、年金支給停止が解除されないままとなっているケースもある

なお、小規模企業においては、毎年71日~10日に提出する「算定基礎届」(被保険者報酬月額算定基礎届。4月・5月・6月に支給した報酬月額を届出るもの)は知っているものの、それ以外に、「月額変更届」(給与の随時改定があったことを届出るもの)もあることを知らない場合もあります。
 

ここで問題となるのが、「月額変更届」を提出せず、「算定基礎届」のみを提出するケースです。
 

この場合会社は、変更後の報酬月額のうち、令和84月・5月・6月に支給済みの報酬月額を「算定基礎届」にて届け出ることとなります。

 

しかし、この「算定基礎届」は、その年の9月から翌年8月まで適用される標準報酬月額を算定するための手続きです。
 

したがって、「算定基礎届」を提出しただけでは、令和89月分(11月支給分)からしか全額受給できるようにはなりません。

令和86月分・7月分・8月分の3か月分の老齢厚生年金(報酬比例部分)が半額支給停止のままとなってしまいます。
 

この場合は、令和83月・4月・5月と変更後の報酬月額を支給済みである旨の「月額変更届」を提出することで、遡って不足分が一括支給されて正しい状態に是正されます。
 


上記事例では、月額変更届により年金支給停止額が改定される令和8年6月から、算定基礎届記載内容が適用される令和8年9月までの期間が短いため、年金支給額がいったん少なくなる月数は3か月で済みます。

しかし、この期間が長いケースでは、年金支給額がいったん少なくなる月数も増えます。
 

なお、過去にさかのぼって年金が決定・変更された場合は、その旨が記載された「年金支払通知書」が届きます。

 

(ポイント)

●「年金額改定通知書」「年金振込通知書」作成後の「月額変更届」を加味した年金支給停止額は、後日通知される

●「月額変更届」の提出漏れが原因で、年金の支給停止が解除されないままとなっているケースもある

 

(参考)
郵送されてきた「年金額改定通知書」をみても、なぜそのような年金支給停止額となるのかわからない方は多いです。

 

特に、企業年金連合会からの「基本年金」を受給している方の場合、国からの老齢厚生年金(報酬比例部分)がどのように支給停止されるのかは理解が難しいため、以下で詳しく解説しています。
企業年金連合会から「基本年金」をもらえる人の年金支給停止額の計算方法とは
 

 

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