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65歳から働きながら配偶者加給年金額ももらいたい経営者が知っておきたいこと

 (2019年9月10日)(2022年4月16日一部修正)
 

加給年金額、とくに配偶者加給年金額については、経営者層からの相談もとても多いところです。


そこで、65歳から働きながら配偶者加給年金額ももらいたい経営者が知っておきたいことを以下にまとめてご案内いたします。

 

●配偶者加給年金額とは
厚生年金保険に20年以上加入した人が65歳になった当時その人によって生計を維持していた、65歳未満の配偶者がいる場合に、老齢厚生年金にプラスして配偶者加給年金額が支給されます。


(注)65歳到達後に厚生年金保険加入期間が20年以上となった場合は、その後退職して、退職日から1月経過したとき、または、在職定時改定が行われるときに、に要件を満たす配偶者がいれば、要件を満たしている間は、配偶者加給年金額がつくようになります。

 

●「生計を維持」とは
次の二つの要件をともに満たしていると、「生計を維持」していたとされます。
1.生計を同じくし、
2.原則として、前年(前年の年収が確定していない場合は前々年)の年収が850万円未満、または、前年(前年の年収が確定していない場合は前々年)の所得が655.5万円未満
(遺族厚生年金を受けられる遺族に該当するかをみる場合の生計維持要件と同じです。)

 

配偶者加給年金額が支給停止されるケースとは

 配偶者加給年金額の支給要件を満たしていても、配偶者自身が特別支給の老齢厚生年金(厚生年金保険加入期間20年以上のもの)や障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止となります。
令和4年度以降は、
配偶者自身が特別支給の老齢厚生年金(厚生年金保険加入期間20年以上のもの)の受給権がある場合は、配偶者加給年金は支給停止となります(経過措置あり)


(配偶者の特別支給の老齢厚生年金等が全額支給停止となり、実際には受け取れない間は、配偶者加給年金額は支給停止されません。)


配偶者加給年金額は扶養手当のような意味合いの加算ですので、配偶者自身がある程度のまとまった年金額を受けている場合は、配偶者加給年金額は支給停止となるという趣旨です。

高額報酬の経営者が配偶者加給年金額をもらいたい場合は、事前に報酬設定を変更しておく必要がある

老齢厚生年金をもらえる本人の報酬が高いため老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額支給停止となっている間は、加給年金額は支給されません。


したがって、経営者の場合、配偶者加給年金額も全額支給停止となる人が多いです。


しかし、老齢厚生年金(報酬比例部分)の一部でも支給されるような報酬設定であれば、配偶者加給年金額の支給要件を満たしている間は、配偶者加給年金額は全額支給されます。

(加給年金額は全額支給か全額不支給かのいずれかしかありません。加給年金額の一部のみが支給されることはありません。)

配偶者加給年金額が支給されるためには、事前に配偶者の報酬設定にも注意が必要

 厚生年金保険に20年以上加入した人が65歳になった時点で、配偶者が「生計維持」要件を満たしていなかった場合は、その後配偶者が「生計維持」要件を満たすこととなっても、配偶者加給年金額は支給されません。


ですから、配偶者の収入・所得が高くて生計維持要件を満たさない場合で、本人が老齢厚生年金(報酬比例部分)の一部または全部を受給して配偶者加給年金額も受け取りたい場合は、事前に、配偶者の年収・所得にも注意が必要となります。


中小企業においては、配偶者も取締役等として年額850万円以上の報酬を受けているケースも多いです。


配偶者の報酬を下げようとしても、取締役等役員の報酬設定変更時期は、原則として事業年度開始の日から3か月以内に限られます。

事前に計画的に配偶者の報酬設定を変更しておく必要があります。

配偶者加給年金額はいくらもらえるのか?いつまでもらえるのか?

●いくら支給されるか
老齢厚生年金につく配偶者加給年金額は、年額388,900円です。
(令和4年度。老齢厚生年金をもらう人の生年月日が昭和18年4月2日以後の場合。特別加算額を含んだ金額)


●いつまで支給されるか
配偶者加給年金額は、配偶者が65歳になるまでで、要件を満たしている間、支給されます。

老齢厚生年金の繰下げと配偶者加給年金額との関係は?

 老齢厚生年金を繰下げるつもりで待機している間は、65歳未満の生計を維持している配偶者がいても、配偶者加給年金額は支給されません。

 

老齢厚生年金を繰下げるつもりで待機している間に、配偶者が65歳になったら、配偶者加給
年金額が支給される期間はなくなります。


なお、老齢厚生年金を繰下げても配偶者加給年金額は増額されません。

銀行の企業格付け(信用格付)・資金調達と社長の役員給与設定・年金受給

経営者が役員給与の支払方を変更することによって、年収を下げなくても特別支給の老齢厚生年金や
老齢厚生年金ももらえるようになります。(「年金復活プラン」


いくらもらえるようになるかは、年齢や、年金額、今後の報酬設定によります。


働きながら年金をもらえるようになる結果、年金+役員給与で考えれば、手取り収入は現在よりも増えることとなります。


もし、手取り収入を増やす必要がないのであれば、役員給与年額を現状よりも下げても問題ないこととなります。


もし、手取り収入を下げれば、役員給与や会社負担の社会保険料といった「販売費および一般管理費」が減りますから、会社の売上や売上原価が変わらなくても、会社の営業利益が増えることとなります。


営業利益は、銀行の企業格付けでも重視される項目ですので、役員給与の設定については重要な経営課題といえます。


以上のことは、書籍『社長、あなたの年金、大損してますよ!』『[社長の裏技]年金をもらって会社にお金を残す』などでも繰り返し解説しています。


しかし、この点について質問いただくこともときどきありますので、以下に補足しておきます。


銀行融資の企業格付け(信用格付)の基準には、定量要因と定性要因との二つがあります。


前社は決算書上に現れる評価要因で、後者は決算書上に現れない評価要因です。


大半は決算書に基づく定量要因で決まりますので、信用格付を意識した決算書の作成が重要となります。

 
銀行によって違いはありますが、定量要因は、基本的には以下の4項目によって評価されるのが基本です。
 
1.安定性
2.収益性
3.成長性
4.返済能力
 

それぞれの項目毎に配点が有り、全体のポイントで債務者区分が決まります。
 

これらの中で、中小企業でも点を上げやすく、また、銀行も重視するのが、4.返済能力の中の、
「インタレスト・カバレッジ・レシオ」といわれる指標です。

 
これは、(営業利益+受取利息)÷支払利息割引料  

という計算式で算出されます。


営業利益が支払金利の何倍あるかをみることができるので、企業の返済能力をみるのに使われます。


この指標は、経常利益ではなく、営業利益を用いて計算される点がポイントです。


小さな会社の年金世代の経営者が役員給与の支払い方を検討することは、単に働きながら年金をもらうためだけでなく、会社の営業利益にも影響を及ぼすことですので、信用格付・資金調達にも影響する可能性のある重要な経営課題といえます。


 

中小企業の事業承継と社長の年金、YouTube動画を活用した中小企業の採用などについてセミナー講師を担当しました

2019年9月20日(金)から3日連続で東京でセミナー講師を勤めました。


9月20日(金)は、中小企業の事業承継について1年間かけて学んでいる税理士さん・FPさん達の勉強会でお話ししました。


事業承継・M&A等に詳しく支援実績や著書等も多い公認会計士・税理士の先生が講義を行われた後に、社長の年金やYouTube動画を活用した情報提供等について話して欲しいという主催者会社様からの依頼でした。


社長の年金については、書籍やこのホームページなどでもお伝えしているような、次の内容について主にお話ししました。


1・年金を請求する場合も、繰下げ予定の場合も、年金の請求・もらい方を考える前に、会社の決算日・社長の生年月日を勘案の上、事前に役員給与設定を検討する必要があること。


2.65歳からの老齢厚生年金を繰下げても、報酬との調整で支給停止となるべき部分については年金額は増えないこと。


3.代表取締役が年金をもらうために配偶者である取締役等と報酬月額を入れ替えることによって、代表取締役死亡時の「生計維持要件」を満たさないため遺族厚生年金が配偶者に支給されなくなってしまう点について。



関東だけでなく全国から税理士さん、FPさんが集まっておられましたが、終了後名刺交換や相談・質問に来られた方も多く、関心の深さがうかがえました。



21日(土)22日(日)はともに終日、社労士さん向けにYouTube動画を活用した採用について教えるセミナー講師を務めました。


こちらは、11月末・12月初めにも同様の講座を依頼されています。


参加者は、3連休の中全国から学ぼうと集まってこられた方々ばかりですので、話す方も力が入りました。

 

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現在大変多くコンサルティングのお申込みをいただいており、無料電話相談は行っておりません。
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