60歳以上現役社長の老齢厚生年金受給・役員報酬最適化なら滋賀県大津市の労務財務の専門家・FP奥野文夫事務所にお任せください!

中小企業社長さまの老齢厚生年金・社会保険等に関するお悩みを解決します。


FP奥野文夫事務所

〒520-0106 滋賀県大津市唐崎3-23-23

営業時間

月〜金 9:00〜18:00
(定休日:土日祝日)

FAX

077-578-8907

ミニマム法人活用で知っておきたい医療保険の基礎知識・改正

ミニマム法人活用・法人成りと健康保険の高額療養費

(2021年10月12日)


医療機関で支払った医療費の自己負担額が高額になったら、一定の金額を超えた分を後で払い戻してもらえる制度(高額療養費)は国民健康保険にも健康保険にもあります。



高額療養費制度には、同一世帯で、診療月以前12月以内に3回以上高額療養費の支給を受けている場合、4回目以降は自己負担限度額が下がる、「多数回該当世帯の負担軽減」と
いうしくみがあります。



この「診療月以前3回以上」とか「4回目以降」というのは、「同一の医療保険の保険者から」高額療養費を受けた回数ですので、ご注意下さい。


・市町村国民健康保険から全国健康保険協会の健康保険
・国保組合の健康保険から全国健康保険協会の健康保険
・全国健康保険協会から○○健康保険組合
・全国健康保険組合から市町村や国保組合の国民健康保険

などのように、医療保険の保険者が変わった場合は、多数回該当にあたるかどうかは、各保険者への加入期間だけで見ます。


各保険者における加入期間について通算はされません。



現在国民健康保険加入で高額療養費を受けたことがあり、多数回該当の要件を近い将来に満たしそうな場合は、ミニマム法人活用や法人成りを検討する際に、ご注意ください。


 

国民健康保険の高額療養費と健康保険の高額療養費

(2023年4月14日追記)


個人事業主・フリーランス等が加入する国民健康保険にも、
法人社長・役員・従業員等が加入する健康保険にも、
「高額療養費制度」があります。



月の1日から末日までの1か月間で医療費の一部負担額が高額になった場合に、自己負担限度額を超えた部分が後から支給される制度です。



制度の基本的なしくみは、国民健康保険であっても健康保険であっても同様です。


ですから、病気・ケガで高額の医療費がかかるようになるまでは、一般の方にはあまり意識されることがないようですが、


この高額療養費の自己負担限度額(月額)は、国民健康保険では所得(注)によって区分されています。

(注)同一世帯の全ての国保被保険者の基準所得金額(総所得金額-住民税の基礎控除額)の合計額



したがって、所得が増えると、病気・ケガで医療費が高額となった場合に自己負担すべき金額が多くなります。


例)所得210万以下:高額療養費の自己負担限度額=57,600円
  ↓
  所得210万超600万以下:高額療養費の自己負担限度額=80,100円+(医療費の総額-267,000円)×1%


(参考)東京都新宿区ホームページ
https://www.city.shinjuku.lg.jp/hoken/file02_04_00004.html



一方、健康保険では、高額療養費の自己負担限度額(月額)は、所得ではなく、「標準報酬月額」(報酬月額を保険料額表にあてはめて定められる、健康保険料を計算するための指標)によって区分されています。


したがって、例えば、役員報酬月額25万円(標準報酬月額26万円)の法人代表取締役が、自身の役員報酬月額を29万円に引き上げて、標準報酬月額30万円になると、高額療養費の自己負担額は、次の通り上がります。



例)報酬月額25万円(標準報酬月額26万円):高額療養費の自己負担限度額=57,600円
  ↓
  報酬月額29万円(標準報酬月額30万円):高額療養費の自己負担限度額=80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1%


(参考1)全国健康保険協会(協会けんぽ)ホームページ
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3030/r150/

(参考2)令和5年度全国健康保険協会(協会けんぽ・東京都)加入の人の保険料額表
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/r5/ippan/r50213tokyo.pdf



以上、70歳未満で過去1年間に1~3回高額療養費適用の場合について記載しました。


なお、報酬月額が(原則として標準報酬月額等級で2等級以上)変動した場合は、会社が報酬月額変更届という届出を提出することで、変動後の報酬月額を支給した月から起算して4か月目から標準報酬月額が改定されるしくみとなっています。


 

令和4年度からの傷病手当金の改正

健康保険の被保険者が、原則として業務外の病気やケガによる療養のため労務に服することができず、その期間が継続する3日間(待機)を含み4日以上となると、4日目以降報酬の支払いを受けなかった期間については「傷病手当金」を受けることができます。



一人法人や小規模法人のオーナー社長の場合、私傷病で働けなくなっても役員給与が支払われるケースが多いですが、働けない期間が一定期間以上となる場合など、役員給与を
支給しないことを決議して傷病手当金を受給するケースもあります。



傷病手当金の1日あたりの支給額は次の通りです。


・傷病手当金の1日あたりの支給額=支給開始月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額を平均した額×1/30×2/3



この傷病手当金は、支給開始日から起算して1年6か月を限度として支給されます。
1年6か月の間に復職した期間があり、その後同じ傷病で労務に服することができなくなった場合でも、1年6か月経過後は支給されません。


この点について、法改正により令和4年1月から改善され、支給開始日から支給期間を通算して1年6か月間を限度に支給されることとなります。


これにより、がん治療のため入退院を繰り返しながら働くようなケースで、支給開始日から1年6か月を経過した後も、支給期間が通算1年6か月間に達するまでは、要件を満たしていれば傷病手当金が支給されることとなります。


令和4年1月1日よりも前に傷病手当金を受けている人については、令和3年12月31日において、暦日で1年6か月経過していない人のみが改正後の制度の対象となります。

 


●(まとめ)
2022年1月から健康保険の傷病手当金の支給期間が
以下の通り改善されます。
(改正前)暦日で1年6か月限度

(改正後)通算1年6か月限度


 

今後の医療保険の改正点のポイント 国民健康保険・後期高齢者医療制度

医療保険関連では、健康保険の傷病手当金以外にも改正が決まっていることがありますので、下記にポイントをまとめておきます。



●国民健康保険料

未就学児にかかる均等割額を5割軽減

2022年4月から
(同じような措置を2021年度からすでに行なっている市町村もあるようです)



●後期高齢者医療制度(原則75歳以上が対象)の医療機関窓口での自己負担額

現役並み所得者(3割負担)を除く一定以上所得者について、現行の1割負担から2割負担に引き上げ

2022年10月1日から2023年3月1日までの間で政令で定める日から

なお後期高齢者医療制度にも、高額療養費や高額医療・高額介護合算療養費の制度はあります。

 

国民健康保険料の上限額(賦課限度額)の改正について

(2021年11月5日)

10月22日に開催された社会保障審議会医療保険部会において、国民健康保険料の上限額・高齢者医療制度の保険料上限額の引き上げ案が以下の通り了承されました。


ともに令和4年度から引上げとなる見込みです。



・国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について

 令和3年度:年間99万円が上限
 ↓
 令和4年度:年間102万円が上限(3万円アップ)



・後期高齢者医療(原則75歳以上の方が対象)の保険料賦課限度額について

 令和3年度:年間64万円が上限
 ↓
 令和4年度:年間66万円が上限(2万円アップ)





 

「勤労者皆(社会)保険制度」構想とは

(2021年11月5日)
衆議院選挙前の10月24日のNHK番組で、岸田首相が次のように述べたと報道されていました。


・「兼業、副業、フリーランスなど国民の働き方が多様化している。
 多様な働き方に中立的な社会保障も考えていかなければならない」

・「『勤労者皆(社会)保険制度』みたいなものを、厚生年金を拡大する形で実現できないか」



岸田首相は2019年5月・政調会長時代に自民党の人生100年時代戦略本部長として社会保障改革提言を取りまとめ、雇用形態にかかわらず加入できる「勤労者皆社会保険」導入を打ち出していました。



2020年の法改正により2022年10月から厚生年金・健康保険の適用拡大(一定の要件を満たす短時間労働者や常時5人以上の労働者を使用する個人の士業事務所への適用拡大)
が施行されることはすでに決まっていますが、今後はそれ以上に次の1・2のような、厚生年金・健康保険に加入すべき人の範囲を広げるような改正案が検討される可能性もあります。


1.まず、週20時間以上勤務など一定の要件を満たす短時間労働者への適用拡大は、2022年10月からは100人超企業が、2024年10月からは50人超企業が対象ですが、
将来的にはこの企業規模要件がさらに引き下げられたり、最終的には撤廃されたりする可能性があるでしょう。


2.その他、現在は業種を問わず従業員が常時5人以上いない個人事業主に使用されている従業員は厚生年金・健康保険は強制加入ではありません。
また、サービス業等一定の業種の個人事業主に使用されている従業員は従業員数を問わず厚生年金・健康保険は強制加入ではありません。


これらのケースは現在でも、被保険者となるべき人の2分の1以上の同意を得て事業主が厚生労働大臣の認可を受ければ、被保険者となるべき従業員全員を厚生年金・健康保険に加入させることはできます(この場合でも、個人事業主自身は厚生年金・健康保険の被保険者になれません)。


しかし、現行の制度では、従業員の過半数が反対していたり事業主が認可申請を行わなかったりして、厚生年金・健康保険に入りたいのに加入できないままの従業員もいると思われますので、将来的な制度の見直しが検討される可能性はあるかもしれません。


個人事業主やフリーランスを「勤労者」として厚生年金・健康保険に加入することも選択できるような法改正を行うのは、具体的な改正案が示されないと何ともいえませんが、
上記のような適用拡大案に比べるとさらにハードルが高いのではないでしょうか。


個人事業主やフリーランスの場合、そもそも、保険料の算出基準(法人役員や法人・個人事業の従業員であれば報酬額・賞与額にあたるもの)をどのように算定するかから制度を設計する必要がありますので。

 

全世代型社会保障構築会議 議論の中間整理

(20220518)

5月17日に全世代型社会保障構築会議における議論の中間整理が公表されました。

(参考)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/zensedai_hosyo/dai5/gijisidai.html



新聞等でも報道されていた通り、大まかな方向性は示されてはいるものの、具体的な社会保障制度改革の中身については、踏み込んだ記載はありませんでした。


岸田内閣が繰り返し唱えている「勤労者皆保険」の実現についても、

1.令和2年改正法で定められた厚生年金保険・健康保険の適用拡大(1)令和4年10月から・令和6年10月からの週20時間以上勤務等の要件を満たすパート従業員等への適用(それぞれ、101人以上企業、51人以上企業が対象)
(2)令和4年10月からの従業員常時5人以上の士業事務所への適用拡大
をまずは着実に実施し、


2.さらに、
(1)50人以下企業の週20時間以上勤務等の要件を満たすパート従業員等への厚生年金保険・健康保険の適用
(2)飲食業、理美容業等非適用業種の個人事業(従業員常時5人以上)の事業所への厚生年金保険・健康保険の適用
等について、今後本格的な議論・検討が開始されることとなる見込みです。


3.フリーランス等への社会保険の適用については、今回の中間整理に次の通り明記されはしましたが、まずは上記2に関する議論・検討が中心となると思われます。


「フリーランス・ギグワーカーなどへの社会保険の適用については、まずは被用者性等をどう捉えるかの検討を行うべき。

その上で、労働環境の変化等を念頭に置きながら、より幅広い社会保険の適用の在り方について総合的な検討を進めていくことが考えられる。」


2に関する議論に限っても、(1)(2)とも経営者団体等からは反対意見も出る可能性があるでしょうから、国民年金・厚生年金保険の次回財政検証(令和6年予定)を経て、令和7年改正で制度が改正されるかどうかは、今の段階ではわかりません。


3については、現時点では、フリーランス等の中でどのような人を「被用者」(サラリーマン)と同様の働き方をしていると捉えるのか、からまずは検討を行うべき、とされて
いる段階です。

 

「骨太方針2022」と働き方・投資・社会保障等

(20220608)
新聞等で報道されている通り、「骨太方針2022」が6月7日、閣議決定されました。


(参考)「経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2022/decision0607.html


社会保険関連で、業種を問わずフリーランス・個人事業主や中小企業経営者の多くの方々が関心をお持ちだと思われる内容の一部を抜粋すると、次の通りです。


「人への投資と分配」では、

◆スキルアップ(人的資本投資)
・リカレント教育(学び直し)

◆多様な働き方の推進
・副業・兼業の促進
・事業者がフリーランスと取引する際の契約の明確化を図る法整備や相談体制の充実など、フリーランスが安心して働ける環境の整備

◆「資産所得倍増プラン」
・NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充、高齢者に向けたiDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革等の政策を総動員し、本年末に総合的な「資産所得倍増プラン」を
策定など


「包摂社会の実現」では、
◆少子化対策・こども政策
・妊娠前から妊娠・出産、子育て期にわたる切れ目ない支援の充実
・仕事と子育ての両立支援
・出産育児一時金の増額
・児童手当の在り方の検討

◆女性活躍
・女性の視点も踏まえた社会保障制度や税制等の検討
・女性の参画拡大

◆共生社会づくり
・認知症や障害者等に対する支援
など


◆「持続可能な社会保障制度の構築」では、

・全世代型社会保障の構築に向けて、世代間の対立に陥ることなく、全世代にわたって広く基本的な考え方を共有し、国民的な議論を進めていく。

・全世代型社会保障構築会議で、2040年頃を視野に、短期的及び中長期的課題を整理し、中長期的な改革事項を行程化した上で、政府全体で取組を進める。

・勤労者皆保険の実現に向けて、被用者保険の適用拡大の着実な実施や更に企業規模要件の撤廃・非適用業種の見直しの検討、フリーランス・ギグワーカーへの社会保険適用について被用者性の捉え方等の検討を進める。


まずは、年末に示される「NISAの抜本的拡充、高齢者に向けたiDeCo制度の改革」が注目されるところです。

 

経営者様からのお電話でのお申込みはこちら

お電話でのお申込みはこちら

077-578-8896

営業時間:9:00〜18:00 (定休日:土日祝日)
担当:奥野 文夫 (おくの ふみお)

現在大変多くコンサルティングのお申込みをいただいており、無料電話相談は行っておりません。
(奥野の留守中にお電話いただき、伝言いただきましても、こちらから折り返しお電話をすることはできません。)

所長の奥野です。

社長さまのお悩みを、
年金・社会保険相談の専門家(FP・社労士)として開業24年超の私が、最後まで責任を持って解決いたします。

無料メール講座
(全国対応)

中小企業経営者様限定

60歳以上現役社長が働きながら年金を受け取るために必要な基礎知識(全13回)を無料で
ご覧いただます!

 

無料メール講座登録はこちら

(社労士、税理士、コンサルタント、FP等同業者の登録はご遠慮ください。)

「個人事業+ミニマム法人」解説本

個人事業+ミニマム法人で年金・医療保険が充実 可処分所得の増加も実現できる

「個人事業+ミニマム法人で年金・医療保険が充実 可処分所得の増加も実現できる(第2版)」(中央経済社刊)

「個人事業+ミニマム法人」解説本第2弾

個人事業主・フリーランスの年金不安をなくす本

「個人事業主・フリーランスの年金不安をなくす本」(自由国民社刊)