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(2020年12月23日)
役員を退職していないものの、退職したと同様の事情にあると認められる場合に支給された役員退職金も、法人税法上の退職給与に該当するケースがあります。
(参考)
・法人税法基本通達9-2-32
(役員の分掌変更等の場合の退職給与)
法人が役員の分掌変更又は改選による再任等に際しその役員に対し退職給与として支給した給与については、その支給が、例えば次に掲げるような事実があったことによるものであるなど、その分掌変更等によりその役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあると認められることによるものである場合には、これを退職給与として取り扱うことができる。
(1) 常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)になったこと。
(2) 取締役が監査役(監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者及びその法人の株主等で令第71条第1項第5号《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる要件の全てを満たしている者を除く。)になったこと。
(3) 分掌変更等の後におけるその役員(その分掌変更等の後においてもその法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)の給与が激減(おおむね50%以上
の減少)したこと。
(注) 本文の「退職給与として支給した給与」には、原則として、法人が未払金等に計上した場合の当該未払金等の額は含まれない。
分掌変更等の際に支給される役員退職金も、もとの役員としての在任期間中における継続的な職務執行の対価の一部の後払いとしての性質を有するものであれば、法人税法上の
退職給与に該当するものとして取り扱うことができることとなります。
したがって、不正経理や不相当に高額な部分に相当する金額がない限り全額損金算入が認められることとなります。
上記(1)(2)(3)は例示ですが、いずれであっても、分掌変更等の後も「(実質的に)その法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く」とされている点が極めて重要なポイントです。
代表取締役を退任した後も引き続き会社の経営に口出ししていると、税務調査で「(実質的に)退職したと同様の事情にある」とはいえない、と指摘され、分掌変更等に際して会社が役員退職金として支給したつもりの金額が、法人税法上の退職給与にあたらない、と指摘される可能性がある、ということですね。
こうなると、役員退職金を支給したつもりでいた会社も、役員退職金を受取ったつもりでいた本人も、ともに大変なこととなってしまいます。
以前解説しました、過大役員退職金の損金算入否認よりもはるかに大きなデメリットが生じてしまいます。
実質的に退職したと同様の事情にはないため、税務上退職給与とはいえないとされると、どうなるのでしょうか。
退職給与でないのであれば、通常の役員給与ということになります。
通常の役員給与であれば、定期同額給与や事前確定届出給与などに該当しない限り法律上損金算入が認められません(法人税法第34条第1項)。
この場合事前確定届出給与にもあたらないので、損金算入が認められない役員賞与を支給してしまっていたこととなります。
会社としては役員退職金を支給したつもりで全額損金算入して法人税を申告していたとしても、役員賞与を支給していたため全額損金算入できないこととなると、法人税等の不足分を会社は納める必要が生じます。
源泉所得税も、退職所得として計算したものではなく、給与所得として計算した金額を会社は納める必要が生じます。
その他、延滞税などもかかります。
役員退職金ではなく、役員賞与を受取ったということになるため、所得税の課税も、退職給与ではなく役員賞与として計算されることとなります。
つまり、退職所得(所得税法第30条)としての優遇措置が適用されなくなります。
具体的には、
1.退職所得控除額のメリットがなくなります。
2.退職所得控除額を控除した金額の2分の1だけが退職所得となるメリットがなくなります。
3.分離課税のメリットがなくなり、他の所得との合算で総合課税となります。
所得税の税率は、5%から45%の7段階に区分されています。
課税される所得金額が4,000万円以上の場合なら、総合課税されるすべての所得についての所得税率は、最高の45%となります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
住民税率10%もかかります。
したがって、本人の所得税等負担が大きく増えます。
以上の通り、「実質的に退職したと同様の事情にある」とはいえないのに役員退職金の支給があると、結果的に会社も個人も高額の税金を納付すべきこととなるリスクがあります。
この点については、顧問税理士さんからも十分アドバイス・指導を受けておられるとは思いますが、オーナー企業の場合、代表取締役退任後取締役会長等として引き続き「実質的にその法人の経営上主要な地位を占めて」おり、「実質的に退職したと同様の事情」にはないのに、分掌変更時に役員退職金を受給しようとするケースが散見されますので、注意が必要です。
団塊世代(1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)生まれ)が2021年には72~74歳となります。
事業承継時期を迎え、分掌変更に際して役員退職金を支払う事例も多くなりつつあると思われます。
引き続き経営上主要な地位を占めていると指摘されかねないような後継者への引き継ぎや相談・助言などは、役員退職金を受ける前に完了させておくべきといえるでしょう。
「実質的にその法人の経営上主要な地位を占めて」おらず、「実質的に退職したと同様の事情にある」ことが明らかだとわかるように、形式面も実態面も事前に整えておくことが
重要です。
このホームページでも何度もお伝えしております通り、厚生年金保険の被保険者や70歳以上被用者となるべき役員か否か(経営に従事して役員給与を受けている役員か否か)について、勝手な判断で被保険者資格喪失届・70歳以上被用者不該当届を提出していたものが後から調査で覆されると、会社・本人の納付不足の社会保険料を納めたり、受給しすぎてしまっていた老齢厚生年金を返還したりする必要が生じます。
それと同じように、分掌変更時の役員退職金が退職給与と認められるか否かも、勝手に判断して処理した内容が後から調査で覆されると、大変なことになってしまいます。
分掌変更時の役員退職金支給については、事前に十分税理士さんに相談されることをおすすめします。
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