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雑所得に関する改正とミニマム法人活用

雑所得の見直し

(2022年9月22日)


令和2年度税制改正を受け、令和2年分の確定申告書から「収入金額等」「所得金額」等の「雑」(注:雑所得の意です)の欄に「公的年金等」「業務」「その他」の区分ができました。


この点について、例えば、令和3年度の確定申告の手引きの11ページでは、
「他の所得にあてはまらない」、以下の「(1)から(3)の所得」が雑所得であると説明されています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2021/pdf/002.pdf

(1)公的年金等の雑所得
 国民年金、厚生年金、恩給、確定給付企業年金、確定拠出年金、一定の外国年金などの所得
(2)業務に関する雑所得
 原稿料、講演料又はシェアリング・エコノミーなどの副収入による所得
(3)その他の雑所得
生命保険の年金(個人年金保険)、互助年金、暗号資産取引などの(1)及び(2)以外のものによる所得


令和2年度税制改正により、雑所得の金額の計算や確定申告の手続きについて見直しが行われました。

これにより、令和4年度分以後の所得税について適用されることとなった内容は、令和4年7月4日に公示された「『所得税基本通達の制定について』の一部改正について」(法令解釈通達)の概要の「2 雑所得の適正化(令和2年度税制改正)に伴う整備」にもわかりやすくまとまっています。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000237504


また、国税庁ホームページで公表されている「令和2年度所得税の改正のあらまし」の4ページ(2の(1)(2))や5ページ((4))でも詳しく解説されています。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/r2kaisei.pdf

 

雑所得と事業所得

さらにその後、2022年8月1日から8月31日まで「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)に関して意見募集が行われ、話題となりました。

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=410040064&Mode=0


これは、事業所得と雑所得との判断基準を明確化する改正案です。


事業所得(や不動産所得等)にあたれば、所得の計算上損失が生じた場合に、他の所得の金額から控除できる「損益通算」の対象となりますが、雑所得にあたれば、損益通算の対象となりません。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2250.htm


今回の改正案の背景には、
1.サラリーマンが(社会通念上事業と称するに至る程度とはいえない、雑所得にあたる程度の)副業を行い、
2.副業で意図的に赤字を出し、
3.副業を雑所得ではなく事業所得であるとして申告し、
4.副業の赤字と本業の給与所得との損益通算により「節税」を企図する、
といった事例が問題視されてきたことがあるものと思われます。


事業所得にあたるか雑所得にあたるかの判断基準については国税不服審判所の過去の裁決事例や判例で示されたものもありますが、抽象的で、個別事例へのあてはめ・判断が難しい面もあります。


その点、改正案では、「主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証のない限り、業務に係る雑所得と取り扱って差し支えない。」とされています。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239212


改正案通り300万円という具体的な数値が所得税基本通達に明記されれば、納税者としても、所得税の税務調査でどのように扱われるかが事前に想定しやすくなります。


 

雑所得に関する改正とミニマム法人活用

それでは、改正案通り改正された場合、個人事業主・フリーランスのミニマム法人活用はできなくなったり、効果が生じなくなったりするのでしょうか。



結論からいうと、引き続きミニマム法人活用は可能ですし、これまでと同様、個人事業で一定額以上の所得がある人がミニマム法人を活用することにより、可処分所得増等の効果を得ることができます。


なぜなら、個人事業主・フリーランスが主たる個人事業とは別の事業でミニマム法人から代表取締役等として役員給与を受ける場合、ミニマム法人から受ける役員給与は、給与所得であって雑所得ではないため、雑所得の取り扱い変更とは関係がないからです。


(そもそもミニマム法人活用は、個人の事業所得で赤字を出すことを企図するものではないですし、
法人から多額の給与所得を得ることを目指すものでもありません。したがって、事業所得と給与所得の間での損益通算とは関係がありません。)

 

サラリーマンが副業を法人化した場合の社会保険・年金

雑所得の取り扱いが改正案通りとなると、副業を個人事業で行っているサラリーマンが、法人を設立して副業を法人で行うケースが今後出て来るかもしれません。

副業を行う法人を設立して、法人で売上を上げ、法人税を負担し、毎事業年度の利益を法人に内部留保していくだけであれば、社会保険・年金に関しては特に問題は生じません。

しかし、副業を行う法人の方でも代表取締役等として報酬・賞与を受けると、副業法人の方でも健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届を提出すべきこととなり、副業から受ける報酬・賞与も、健康保険料・厚生年金保険料の算定の際に加味されることとなります。
したがって、サラリーマンとして勤務している会社の納める社会保険料や、サラリーマンとして勤務している会社における給与計算にも影響を及ぼします。
特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金を受給している人の場合は、年金額およ両社から受ける報酬・賞与額によっては、年金支給停止額が増える可能性があります。


会社員が副業法人を設立して法人代表者として報酬を受けると社会保険はどうなるか

 

収入金額が300万円以下であっても、帳簿書類の保存があれば、原則として事業所得に区分されることに

(2022年10月8日)

令和4年8月1日から8月31日まで意見公募が行われていた「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)は、
 

●収入金額が300万円以下なら、原則として雑所得
という内容でした。


この改正案に対しては、合計7,059件もの意見が寄せられたことを、10月7日に国税庁が公表しました。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000242043

 

結局、当初の所得税基本通達(案)は修正され、
「収入金額が 300 万円以下であっても、帳簿書類の保存があれば、原則として、事業所得に区分される」こととされました。
(「一般に帳簿書類の保存がある場合には、営利性や有償性、継続性や反復性、自己の危険と計算における企画遂行性があると考えられることから」だそうです。)

 

所得税基本通達の一部改正(案)・修正後の、
所得税基本通達35-2(業務に係る雑所得の例示)の(注)は、次の通りです。

 

(注)事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。

 なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する。

 

 

上記(注)の1・2行目の記載は従来通りの基本的な考え方であって特に新しい内容ではありません。これによると、例えば、副業を個人事業で行っているサラリーマンが帳簿書類の保存を行っていたとしても、個別の状況を踏まえてその所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っている」とはいえないと税務調査で判断されたようなケースでは、事業所得ではなく雑所得に該当すると指摘され得ることとなります。
(これにより、サラリーマンが小規模の副業を意図的に毎年赤字にして損益通算により給与所得分の所得税を減らそうと企図するような事案は、一定程度は防げると思われます)。

 

●参考:雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説(国税庁ホームページ)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/pdf/02.pdf
の(注)には、この点について、次の通り、ある程度具体的な判断基準が記載されています。

(注)その所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存している場合であっても、次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することとなります。
 ① その所得の収入金額が僅少と認められる場合
 例えば、その所得の収入金額が、例年、300 万円以下で主たる収入に対する割合が 10%未満の場合は、「僅少と認められる場合」に該当すると考えられます。
 ※「例年」とは、概ね3年程度の期間をいいます。
 ② その所得を得る活動に営利性が認められない場合
 その所得が例年赤字で、かつ、赤字を解消するための取組を実施していない場合は、「営利性が認められない場合」に該当すると考えられます
 ※「赤字を解消するための取組を実施していない」とは、収入を増加させる、あるいは所得を黒字にするための営業活動等を実施していない場合をいいます。

 

 

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